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南米いけばなの旅

花の旅 4

 ある年の四月の末、ゴールデン・ウィークまであと数日のこと、私は成田空港の、離陸をしようと滑走路のはじに位置を定めた飛行機の中にいた。
 これから三十五日間、国際交流基金派遣のいけばなの使節として、南アメリカ六カ国を訪問するのだ。
 日本に帰ってくるのは六月のはじめである。若葉もそのときにはすっかり青葉になっているのだ。上昇していく機の中で、私はふとそんなことを思った。そして肩に力が入っているような気がして、首を左右にふった。私のいままでの人生のなかで、おそらくもっとも責任の重い仕事がはじまったのだった。
 同行の市瀬淑子(いちのせよしこ)さんと私の荷物は合計百四十キロ。いけばなに使う道具類や本、和服、プラスチックの花器。
 個人の身のまわりのものも含めてリストにすれば何品目あるだろうか。雑多なスーツケースの中身と、南米の遠さを思うと落ちつかず、たいした時間もたっていないのがわかっていながら、しきりと腕時計をながめるのだった。

 
― 解説 ―
 
20数年もたつと 出張の荷物の中身も変わってきます。
きものを持っていくことは少なくなりました。パーテイーで着たり 着てくださいというリクエストがあれが着ますが 重量制限のある荷物に もっと作品を便利に作るためのものを入れたいと思うようになりました。代わりに増えたのが 場所によって違いますが 大きな作品を作るときに必要なボルト。前もって インパクトドリルがあるかときくと ある、という場合には持っていきます。ない場合には 釘。 日本のものは品質がいいので 曲がりません。金槌は さすがに持っていかなかったのですが 場所によっては すぐ調達できないこともあります。
 
少し前 チェコで 現地のかたに金槌を持ってきてといったのですが 忘れられ 金槌にとってかわるものがなく 斧でたたいたことがありました。
どこをつかったらいいやら ひっくり返したり あれこれ使ってみたのですが 古いせいもあったのでしょうか。最後に柄そのものが飛び 危うく怪我にならずよかったです。
思わず笑ってしまいました。
2008 Koka
 
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