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南米いけばなの旅

花の旅 8

 参加者が花をいけ、私が講評をするという形の講習会は、いままで外国人を教えてきた経験がいかせるだろう。しかしデモンストレーションは、自分の教室でクラスのはじめに見本としていけてみせたときや、インドのときの経験や、国際会議のレディスプログラムのときの経験しかない。その経験だけにたよるわけにはいかない。会場も、そこに入る観客も、人数も、もっとバラエティーがあるだろう。
 
 日本の女性のなかで、いけばなをたとえ少しでも習ったことがあるという人は、かなりの比率を占めると思う。しかし、いけばなのデモンストレーションをみたことのある人となると、日本人のなかでも何割いるのだろうか。
 いけばなのデモンストレーションとはどんなものだろうか。いけばなのデモンストレーションとは、いけばながどのような手順でいけられ、完成していくかを、はじめから仕上がりまで観客の前でみせることである。観客はその過程を、作者と同時体験をすることによって、いけばなを楽しむ。
 デモンストレーションをする人、つまりデモンストレーターは、作品の後ろで観客に向かっていけていく。観客は作品完成までのプロセスが正面から見られるわけである。作品の規模が大きく、一人での製作が無理という場合、部分的に助手にまかせ、本人は前にまわっていけることがあっても、観客と作者がある一定の時間や体験を共有する点は同じである。
 デモンストレーションの内容はどうだろうか。それはその時間と目的、みせる対象、作品の規模などによって変わってくる。また、何作いけるかもそのときでちがう。国賓に対するときの、ふんだんに花材を使ったものや、大きなステージで、その場にあわせていけてみせるもの、そして教室でけいこのとき見本の作品としていけるものと、その数も規模もさまざまである。
 だがどの場合にしても、デモンストレーションは時間が限られたものだ。ふだんのクラスでのけいこのように、いけ手がのんびりと納得のいくまで作品に手をいれているわけにはいかないのである。
 実際にデモンストレーションをする人は、前もってすべてを入念に準備しておく。花器や花材を決め、枝も選び、「ステージでは、この大きな枝を先にもってきてね」と助手と打ち合わせをしたり、「当日舞台の上では、この枝とあの枝を組んでここにくぎを打って固定させよう」と準備したりする。しかし、その逆に、ぶっつけ本番のスリルや偶然性を楽しむため、規模によっては、ある程度の準備だけで本番にのぞむ人もいる。
 日本独特のいけばなを、こういう形で人にみせるというスタイルに、私は興味をもっていた。

 
― 解説 ―
 
デモンストレーションというのは 海外で今でも紹介する方法として 行われています。ひょっとしたら 国内にいる日本のかたのほうが いけばなにかかわっていても 見る機会が少ないかもしれません。
2008 Koka
 
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